教えて!『無形資産』の築きかたVOL.8

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元東京都職員で歴史作家の童門冬二さん、元八王子市役所職員で小説家の篠田節子さん。公務員出身の小説家は気になります。戦国時代の岐阜県富加町を舞台にした短編歴史小説が、岐阜県文芸祭の文芸大賞を受賞した岐阜県関市役所の中島真也さん。郷土史を題材に、念願の大賞を受賞されました。

人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を今からコツコツと蓄えていきたい。そこで、『公務員』という生き方をしながら、『無形資産』を蓄えている関市役所の中島真也さんにその秘訣をお聞きします。

 

中島真也さんプロフィール

関市役所会計課課長補佐。過去には文化課、関伝日本刀鍛錬技術保存会事務局等を担当。関の刀剣を研究する職員自主研究グループ「関鍛冶歴史塾」主宰。

30代後半より郷土史を研究しながら小説を書き始め、2015年に関の刀工を題材とした「信長の刀鍛冶」で岐阜県文芸祭小説部門・優秀賞を受賞。同作が評価され、「地域に飛び出す公務員アウォード2018」表彰受賞。その後に歴史研究の場を広めて書いた短編「堂洞の人質」が、2019年岐阜県文芸祭で大賞を受賞。同作は小説の舞台となった富加町の広報に取り上げられ、2020年6月から一年間連載中。

 

-大賞の受賞おめでとうございます。小説を書き始めたきっかけを教えてください。

刀匠や刀装具の職人が集まる「関伝日本刀鍛錬技術保存会」の事務局の仕事を担当した時に、刀や地元の歴史に興味を持ちました。もともと、戦国時代の歴史小説は好きで読んでいました。岐阜県内には、織田信長の歴史や伝説の場所が多く残っています。歴史小説を読んでいると、だいたいの場所は分かります。史実を調べていくうちに、地元の歴史で、小説になっていないことがあることに気づきました。たまたま近所にあった、歴史小説作家が主宰する講座に通い、郷土史をもとに歴史小説を書き始めました。

-刀に興味はあったのですか。

最初はまったく興味がなく、刀って怖いくらいでした。じっと見ると、刀ってきれいなんです。刀の姿によって時代が分かります。まったく一緒の刀はありません。有名な刀匠の作った刀が、戦国武将に渡っていった変遷を追うと、歴史の奥深さを知ります。

-中島さんの小説はどちらで読むことができますか。

岐阜県文芸祭の文芸大賞を受賞した「堂洞の人質」が、小説の舞台である富加町の広報誌で連載されています。富加町の教育委員会に史実を確認しながら、12回の連載に書き直しているところです。市役所の自主研究グループのメンバーと、関高校の生徒とともに、富加町の史跡のフィールドワークをしました。そこで、役場の方と知り合い、小説の話をしたところ、今回の連載に繋がりました。

富加町広報誌(2020年6月から1年間掲載中)
https://www.town.tomika.gifu.jp/docs/8580.html

-市役所の自主研究グループがあるんですか。

地域に飛び出す公務員アワード「地域の歴史小説創作賞」の受賞後に、市役所内に、自主研究グループを立ち上げました。庁内に刀が好きな人がいることは知っていたので、刀の勉強会をしたいと思っていました。「関市役所の職員が、刀のことを知らないのは恥ずかしい」という声もありました。市の職員に、地元の歴史に興味を持ってもらいたいです。

-市役所外の方との交流のきっかけは。

業務改善の仕事をしている時に、全国の公務員の方と知り合いました。その時に、山形市役所の後藤好邦さんと出会い、地域に飛び出している公務員がいることにびっくりしました。後藤さんの「頼まれごとは試されごと」と、何でも引き受ける姿勢を真似たことが、いろんなことを始める原動力となりました。市役所の中に引きこもっているよりも、外へ出ていったほうがいいかなと思い始めたきっかけです。市役所は閉鎖的で、外の人と関りあうのはいかんという雰囲気がありますから。

-これまで辛かったご経験ってありますか。

今、課長補佐なんですが、その昇任試験に何度か落ちたことですね。僕は管理職向きではないという思いに至りました。小説を書いたり、地域活動をしたほうがいいと考えるようになりました。公務員でも、管理職としてやっていきたい人と地域活動をやっていきたい人に別れます。僕はどちらかといえば、管理職ではなく、地域でやっていきたいんです。

-公務員と作家の二足の草鞋はいかがですか。

関市役所に勤めたおかげで、地元の文化に興味を持てました。歴史小説のネタ集めも地元だからこそできます。刀匠の方とも出会えました。小説で賞を取った時に、保存会の会長も喜んでくれて、「もっと、関の刀を全国に広めて」と発破をかけられています。

-作家として、どのように過ごしていますか。

書かないとですよね。書かないと上手くならないです。小説の賞に応募していますが、全然駄目です。誰にも読んでもらえない作品を書き続けるというのは精神力がいります。書くことは楽しくて、苦ではありません。作家名の「風羅真」でTwitterをしていて、刀剣ファンや刀剣女子とTwitterで交流しています。

-作家名の「風羅真」の由来を教えてください。

「風羅」は、関出身の俳人で芭蕉の弟子でもある、広瀬惟然の唱えた「風羅念仏」からいただきました。「真」は本名の「真也」から取っています。最初はペンネームでこっそり書き始めたんです。そういえば、受賞を伝える地元の新聞には本名で報道されていますね。

-今後、どうしていきたいですか。

全国的な賞を取りたいです。娘を寝かせてから、毎晩2時間くらい書いています。歴史小説って資料集めが大変で、半分くらいはその時間に費やしています。執筆時間が取れず、短編小説ばかり書いています。いつか長編小説を書きたいです。ネタはあるんです。短編小説を10本くらい書いているので、いつか本にしたいです。

それと、岐阜県内の人とのネットワークを広げたいです。オープンイノベーションによる地域社会の課題解決を目指した学びの場「岐阜みらいカレッジ」へ参加しています。小説のネタ探しにもなります。

-公務員のこの先へ一言お願いします。

江戸時代の藩は、他の藩と付き合うなと閉鎖的でした。その状況が、市の外との人と付き合うなという、今の市役所と似ています。坂本竜馬のように脱藩して、他の市や地域の人と付き合うのが大事ですね

 

宇宙(そら)の無形資産帳簿

地元の公務員になったことで、郷土の歴史と、その歴史に繋がる、現代に生きる人たちと出逢いから、次々と作品を生み出しています。地元で働きながら書いていることが、中島さんの作品のオリジナリティの源泉ですね。30代後半から一気に、仕事もプライベートも面白いように繋がっていった10年だそうです。人生って、いつから面白くなるかわかりません。今を楽しんでいる中島さんの姿は、まんなか世代の星です。


~執筆者プロフィール~
上木 宇宙(うえき そら)
まんなか世代の公務員。
元気な100歳、『百寿者』を目指しています。
健康第一、85歳までは働き続けたい。
定年後、私ができる仕事はなんだろう?
人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を蓄えていきたい。
『公務員』という生き方しながら、『無形資産』を蓄えている方にその秘訣をお聞きします。

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