帝王切開カウンセラーの処方箋「それはそれ、これはこれ」②まっぱ

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私は約30年前に初めての帝王切開出産を体験しました。
その後さらに2回体験。盲腸など含めると6回の手術経験があります。
当事者と医療者双方の声を聞いていて思うのは、コミュニケーションの不足と、主役である女性が声を上げられていないということ。
心の奥の怒りとともに「それはそれ、これはこれ」
帝王切開出産の心の処方箋をお出しします。

【まっぱ】

帝王切開は手術。
ということは、出産は手術室で行われます。

私もそうでしたが、多くの女性が、まさか自分の出産場所が手術室になるなんて思ってもいません。
だから、手術室でどんなことが起きるかも当然知りません。

いよいよ出産の準備。
病室で術衣に着替え、歩いて手術室に向かったり、車いすやストレッチャーで運ばれることもあります。
初めて入る手術室。もうそれだけで緊張です。
術衣を着て、術台に上がり、横になります。
術台は思ったより狭く、ママはおなかが大きいので、さらに狭く高く怖さを感じます。

点滴をします。
尿道カテーテルをつけます。
背中に麻酔をします。
このあたりで術衣を脱がされ、さっとタオルで隠して不要な肌の露出は極力無いようにしてくれるのが一般的。

手術室

ところが、手術室に入ったら「はい、全部脱いで」と言われている女性がたくさんいるのです。
まわりは全員服を着ています。
そこで、全裸になる。人前で服を脱ぐのです。温泉の脱衣所ではない場所で・・・。
ママに意識があるくらいですから、超緊急ではありません。

妊婦さんが医療者だった場合は、何人かでバスタオルを持って囲み、周りから見えないように隠して術台に上がってもらうところもあるそうです。
ということは、全裸は恥ずかしいとわかっているということですね。
そもそも全裸にする意味がわからない。
そんなこと絶対にしない病院もたくさんあります。


・全部脱いでと言われ、おなかが大きいまっぱで、術台に上がりました。恥ずかしさしか覚えていません。

・脱ぐのが恥ずかしくてまごまごしていたら、「早く脱いで!」と怒られました。


でも・・無事に赤ちゃんと会えたし、手術だし・・って自分を納得させていませんか?
それはそれ
恥ずかしさは一生心に残ります。
なぜ出産の記憶より恥ずかしさの記憶を残しておかなくてはいけないのですか?
あなたの次に帝王切開出産する女性のためにも、ぜひ「あれは、女性として人として恥ずかしいことです」を伝えてください。

おかしいと思っていたけれど、先輩やオペ担当の看護師さんには言えないし。
他にも改善したほうがいいことはたくさんあるけれど、入院は1週間くらいだからしかたないか・・で済ませていませんか?

これはこれ。

帝王切開で出産した助産師さんが声をあげて、改善したという声も聞こえてきます。
女性のその後の子育てにも関わることだから、そこは大切にしてほしいのです。

どうぞ産後、「恥ずかしさや劣等感」を持つことなく、女性自身が心身の健康と笑顔を守っていけますように。


執筆者プロフィール

細田恭子
さいたま市在住。帝王切開で三姉妹を出産し、
2000年にWEBサイト「くもといっしょに」を開設。帝王切開カウンセラーとして、各地で講座やお話し会を開催。共著『ママのための帝王切開の本』『帝王切開で出産したママに贈る30のエール』(中央法規出版)趣味はミュージカル観劇

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