石の上にも20年 Vol.1「ぽぽちゃんまっ黒」

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石の上にも20

3人の娘を育て、みんな大人になって巣立っていった。

空っぽの娘たちの部屋を見ていると「片付けなさい!」と怒鳴ったことや「イヤイヤ期」「反抗期」に眉間にシワを寄せていた頃を思い出す。
先輩の失敗談や励ましに、たくさんの元気や勇気をもらって涙を拭いたことを思い出す。

渦中は言えなかったけれど、子どもが大人になった今だから笑って言える石の上のこと。

 

ーーーーーーー

「ぽぽちゃんまっ黒」

三女が5歳ころのこと。
次女が大声で私を呼んだ。
「ママ—-!ぽぽちゃんが!!!」

慌てて行くと、かわいいピンクのワンピースを着たぽぽちゃんの身体中に真っ黒なほくろがいっぱい。
いや、よく見るとほくろじゃない!鉛筆の芯だ!
三女がグサグサと、お姉ちゃんの鉛筆でぽぽちゃんの頬や腕を刺したあとだった。

いやいや、びっくりした。
慌てて調べてみた。
「鉛筆で刺す」「人形を刺す」
すると悪いことしか書いていない。
攻撃的。心に何かある。育て方の問題・・・・
そりゃ、思い浮かぶことはたくさんある。

3番目だから甘やかした?
姉たちのことに時間をとられ、気にかけてあげてなかった?
私の育て方が悪い?

当時本人から聞いたのは、「幼稚園でお友達とケンカをした」ということ。
そして大人になった娘は、刺したことをうっすら覚えているくらい。
「たぶんイライラしてたんじゃない?」って・・(-_-;)

ぽぽちゃんにグサグサした娘は無事に社会人になり、今は看護師として患者さんに丁寧に注射をしている。

 

あの時は言えなかった。
「どうなっちゃうんだろう」って未来が見えなかったから。
もし誰かに言って自分の育て方を責められたら、さらに自信喪失だったから。

でも成長した私が、当時の私に伝えたいのは
「大丈夫。娘はステキなおとなになったよ」
「社会が作りあげた不安に煽られ過ぎていない?」
「ずっと同じじゃないからね」
心配を抱えながら人を育てる。まさに育児は育自なのだ。

20年経って、ようやく石の上から降りてみたら、なんとなくまた上がりたくなったりしている。

 


執筆者プロフィール

細田恭子
さいたま市在住。帝王切開で三姉妹を出産し、
2000年にWEBサイト「くもといっしょに」を開設。帝王切開カウンセラーとして、各地で講座やお話し会を開催。共著『ママのための帝王切開の本』『帝王切開で出産したママに贈る30のエール』(中央法規出版)趣味はミュージカル観劇

 

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