石の上にも20年 Vol.2「娘、荷物まとめて出ていく」

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石の上にも20

3人の娘を育て、みんな大人になって巣立っていった。

空っぽの娘たちの部屋を見ていると「片付けなさい!」と怒鳴ったことや「イヤイヤ期」「反抗期」に眉間にシワを寄せていた頃を思い出す。
先輩の失敗談や励ましに、たくさんの元気や勇気をもらって涙を拭いたことを思い出す。

渦中は言えなかったけれど、子どもが大人になった今だから笑って言える石の上のこと。

 

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娘、荷物まとめて出ていく」


長女が年長さんの頃。
ちょうど3人目が生まれ、家の中もなんだか落ち着かなかったある日。
幼稚園のお迎えに行ったら、担任の先生が呆れたように“今日の報告”をしてくくれた。

長女は本を読むのが好きで、言葉も多く知っていたし、同じ年の子と比べるとわりとおとななタイプ。

その日、娘はお友達とふざけて、集合時間になっても隣のクラスから戻ってこなかったそう。
怒った先生が娘たちに「言うことを聞かない子は、先生のクラスの子じゃありません。隣のクラスに行きなさい」と伝えた。
他の子は泣いて「ごめんなさい」と謝ったけれど、娘は自分の荷物をまとめてさっさと隣のクラスに行っちゃった。
隣のクラスの先生が諭してくださって、無事に自分のクラスに戻ったけれど、先生からその話を聞いて顔から火が出るようだった。

なんでそんなことを?
そりゃ、思い浮かぶことはたくさんある。
家の中が落ち着かない?
長女に厳しくし過ぎた?
「ごめんなさい」が言えないのは反抗的?
私の育て方が悪い?

家に帰って、本人の言い分を聞いてみた。
「先生が隣のクラスに行けって言ったから行った」ただそれだけ。

荷物をまとめて出て行った娘は、社会人になって関西に就職が決まり、荷物をまとめてきちんと挨拶をして出て行った。

あの時は言えなかった。
「どうなっちゃうんだろう」って未来が見えなかったから。
もし誰かに言って自分の育て方を責められたら、さらに自信喪失だったから。

でも成長した私が、当時の私に伝えたいのは
「大丈夫。子どももちゃんと考えてるよ」
「人の目じゃなく、自分の目を大切にして」
「笑って!笑って!」
心配を抱えながら人を育てる。まさに育児は育自なのだ。

 

20年経って、ようやく石の上から降りてみたら、なんとなくまた上がりたくなったりしている。

 

 

 

 


執筆者プロフィール

細田恭子
さいたま市在住。帝王切開で三姉妹を出産し、
2000年にWEBサイト「くもといっしょに」を開設。帝王切開カウンセラーとして、各地で講座やお話し会を開催。共著『ママのための帝王切開の本』『帝王切開で出産したママに贈る30のエール』(中央法規出版)趣味はミュージカル観劇

 

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