石の上にも20年Vol.3「笑顔で挨拶しない」

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石の上にも20年

3人の娘を育て、みんな大人になって巣立っていった。

空っぽの娘たちの部屋を見ていると「片付けなさい!」と怒鳴ったことや「イヤイヤ期」「反抗期」に眉間にシワを寄せていた頃を思い出す。
先輩の失敗談や励ましに、たくさんの元気や勇気をもらって涙を拭いたことを思い出す。

渦中は言えなかったけれど、子どもが大人になった今だから笑って言える石の上のこと。

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【笑顔で挨拶しない】

次女は人見知り。

2歳ころ、久しぶりにおばあちゃんの家に遊びに行った時のこと。

おばあちゃんがご近所さんに孫自慢をしたくて、夕方次女を抱っこして家の前に立ち、すれ違う人に「あら~、お孫さん?かわいいわね~」って言われるのを楽しみにしていた。

予想通りご近所さんが次々とやってきて「あら~」って次女に触れようとすると「プイッ」

頭を撫でようとすると手を払う。

みんな苦笑して離れていったって。

5歳ころ、社宅のエレベーターの中。

私と2人ならおしゃべりするのに、そこに誰かが乗ってくると私の後ろにサッと隠れ、挨拶もせずうつむいちゃう。

社宅なのに・・。

そんな次女が中2の時のこと。

帰宅した娘から驚きの報告。

「今度、校内合唱コンクールがあるんだけど、伴奏になったから」

なんと!

一応ピアノは習っていて、姉妹の中では一番続いていたし、自分がやりたいことに手をあげるのは喜ばしいこと。
でも

「あなた目立つのキライだったよね?伴奏をやって大丈夫なの?」

そんな私にこう答えてくれた。

次女は背が低くて、いつも一番前。

だから、合唱だとたぶん一番前のセンター。目立つ!

「伴奏ならピアノはステージの一番端っこで目立たないから」

「でも間違ったら目立つよね?」の質問に

「間違わなきゃいい」

なんてステキ!と感動。
無事に大役を果たす。

その後、管弦楽部でヴァイオリンに目覚めた娘は、高校ではコンサートマスターとしてオーケストラの真ん中でイキイキと演奏していた。
好きなこと、居心地の良い友人に出会え、飾ることなく今を楽しんでいる。

「人見知りはダメ」と決めつけていたのは私だった。
ハキハキと最高の笑顔で挨拶するのが「いい子」で、そう思われたかった。

でも成長した私が、当時の私に伝えたいのは
「イヤなことはイヤだと伝えるって大切なことだよね」
「普段の娘をちゃんと見てる?」
「自分のものさしで育てようとしてない?」
心配を抱えながら人を育てる。まさに育児は育自なのだ。

20年経って、ようやく石の上から降りてみたら、なんとなくまた上がりたくなったりしている。


執筆者プロフィール

細田恭子
さいたま市在住。帝王切開で三姉妹を出産し、
2000年にWEBサイト「くもといっしょに」を開設。帝王切開カウンセラーとして、各地で講座やお話し会を開催。共著『ママのための帝王切開の本』『帝王切開で出産したママに贈る30のエール』(中央法規出版)趣味はミュージカル観劇

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