帝王切開カウンセラーの処方箋「それはそれ、これはこれ」⑪ケンコウ?

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私は約30年前に初めての帝王切開出産を体験しました。
その後さらに2回体験。盲腸など含めると6回の手術経験があります。
当事者とその周囲の声を聞いていて思うのは、コミュニケーションの不足と、主役である女性が声を上げられていないということ。
心の奥の怒りとともに「それはそれ、これはこれ」
帝王切開出産の心の処方箋をお出しします。

 

【ケンコウ?】

帝王切開になる理由はそれぞれ。
緊急だったり、予定だったり、お母さん側の理由だったり、赤ちゃん側の理由だったり。
自分のおなかを切って、2つの命をかける出産なのに、自分が帝王切開になった理由がわかっていない女性がいます。
母子手帳には「帝王切開術」としか書かれていなくて、どうして自然に産めなかったのかわからないまま育児が始まっています。
「逆子」や「前置胎盤」など理由があってもモヤモヤする方がいらっしゃるのだから、理由がわからない手術はなおのことモヤモヤです。

 

医師には聞き返しちゃいけないと思っていませんか?
聞いて怒られたらイヤだから自分の疑問をそのままにしていませんか?
たしかに自分がわからないことを、忙しそうにしている医療者に聞くのは気が引けます。
でも、それはそれ。

ある方が、医師に帝王切開になった理由は「ケンコウ難産です」と告げられました。
「えっ?健康なのに難産?」赤ちゃんは健康なのだから自分が悪いんだと思っていたそうです。
でも正解は肩甲難産。
分娩の途中で赤ちゃんの肩が引っかかってしまい、分娩がスムーズにいかない状態のこと。
産後に自分で調べてやっとわかったそうです。

わからないことは遠慮せずに聞きましょう。
前もって聞きたいことは付箋に書いて母子手帳に貼っていきましょう。
あなたの体に起きることです。
知っておく権利があります。

 

忙しい時に、とくにここ数年はコロナ禍でもあり、1人の妊婦さんにかける時間を少なくしたいかもしれません。
そして、いつも使っている医療用語だから、自然と口にしてしまっていませんか?
でもこれはこれ。

医療者の言葉一つで安心します。緊張が解けるのです。
逆にそれが得られなかった女性は、ずっと緊張が続きます。
「医師が忙しければ、お産のプロの助産師さんに聞いてください」と伝えています。
今一度、日常になっていないか、この言葉は当事者に届いているだろうか。

そんなことを見直していただけたらうれしいです。


執筆者プロフィール

細田恭子
さいたま市在住。帝王切開で三姉妹を出産し、
2000年にWEBサイト「くもといっしょに」を開設。帝王切開カウンセラーとして、各地で講座やお話し会を開催。共著『ママのための帝王切開の本』『帝王切開で出産したママに贈る30のエール』(中央法規出版)趣味はミュージカル観劇

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